廃車列伝2:ジェミニC/C NAVI5

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ジェミニC/Cは、印象に残るCMとともにとても良い車であったと思っています。しかし、この車での事故は本当に恐怖でした。こんな経験をした人は他にはいないでしょう。原因は闇の中になってしまいましたが、おそらくNAVI5にあったのではないかと思っています。

そこで、まずNAVI5とは何かを知らないと・・・ギアチェンジをコンピュータ制御で行うクラッチレスシステムです。つまり操作性や見かけはオートマチックなのですが、実際のギアチェンジはマニュアル車と同じシステムということてす。

コルディア廃車後も車がなくては困るのでしばらくマニュアル中古車に乗っていました。その後、就職して自動車通勤になると、渋滞路や狭い抜け道を通ることが多くなり、小型のオートマチック車に乗り換えることにしました。そんなとき一目で気に入ったのが、いすず・ジェミニC/Cです。テレビCMも結構話題になっていたと思います。当時としては画期的なパステルカラーのボディ色にNAVI5搭載、しかも3ドアハッチバックでサンルーフも付けられると私の好みを知っているかのような車でした。ちょっとエンジンパワーは足りませんが、おかげでコルディアの頃とはうって変わって、事故は全くなしの安全運転でした。

新車購入から2年半経った頃、クラッチに違和感を感じ始めました。なんとなくアクセルを踏み込んでもそれまでより応答が鈍いしスピードも出ない感じがしました。これはクラッチが滑り始めているのだろうと思いましたが、そこはNAVI5ですからコンピュータが自動判断して最適なギアで運転を続けてしまいます。

しばらくごまかしていましたが、次第に症状が悪くなってきたので不安を感じ、正規整備工場に立ち寄って点検を受けました。すると、確かにクラッチ板が摩耗してきていて、半年後の車検まで持たないかもしれないので、1週間後に交換しましょうと言うことになりました。クラッチが2年半で摩耗して使えなくなるのか?と思いましたが、まあそこはNAVI5ですから仕方ないのかと思い整備工場を後にしました。

自宅への帰路で80キロ制限の有料道路に入ると、アクセルを踏み込んでもなかなかスピードが上がらなくなりました。自宅までわずか5キロほどなので、オートクルーズを使ってなんとか80キロをキープして走りました。しばらくするとそれまで3000程度であったエンジン回転数が4000に上がり、瞬く間にレッドゾーンからメータを振り切ってしまいました。まずいと思ったときにはもう手遅れで、「ドン」という鈍い音とともに後方になにやらパーツが落ちていきました。エンジンが爆発したのです。エンジン回転は0になると同時にステアリングもブレーキも効きが悪くなりました。とにかく直進減速して、なんとか路肩に停めることができました。

車から降りて、呆然としながらも緊急電話で道路公団に連絡していると、車の下からチラチラと炎が見え始めました。そのことをリアルタイムで伝えると、公団から消防・警察へ連絡が回りました。しかし、それから消防車が到着するまでの5分(とても長い時間に感じていましたが・・)の間にジェミニはメラメラと炎上を始めました。テレビドラマのように爆発しないのかと冷や冷やしていましたが、消防の人たちは冷静で「あれはドラマの話で、実際にはこうやってゆっくり燃える」と言っていました。消火活動は行われましたがガソリンに引火して、骨組みだけ残して全焼してしまいました。有料道路も消火が確認されるまで通行禁止になり、大渋滞を巻き起こしていたようです。

この事故はかなり特殊な状況が重なったことは分かっています。クラッチ板摩耗のNAVI5でオートクルーズを使ってしまったことが原因だと思います。80キロという速度を維持するためにコンピュータがギアを切りかえ、限界以上にエンジンを回してしまったのでしょう。私の判断・操作が悪かったとも言えますが、こうしたことを想定した安全装置が設定されていなかったこと、直前に正規整備工場で点検を受けていたということで、いすず側に保証を求めました。結局、原因不明のままでしたが、こちら側の不備はなかったと言うことで、同型ジェミニの新車提供と積載荷物分の保証を受けました。

運が悪ければ死んでいたかも知れない事故でしたが奇跡的に怪我はありませんでした。別にいすず相手に裁判を起こす気もありませんでしたので、2年半乗った中古車が新車に入れ替わったことで良しとしました。でも、乗り始めてすぐにやはりNAVI5は気持ちが悪いので、売却して他社のマニュアル車に乗り換えました。

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